日本の教育事情

〜2006年と2007年の教育を考える

 

米日教育交流協議会

代表 丹羽筆人

 

未来を支える子供たちが主役の教育の実現を

 新年明けましておめでとうございます。今年も皆様にとって良い年でありますことを願っております。

 昨年は秋から年末にかけて教育関係のニュースが目立つ年であったと思います。いじめによる自殺、高校の単位履修不足問題、そして、教育基本法の改正などが特に注目すべきニュースです。子供たちによるいじめによって、多くの子供たちの命が失われてしまったことは大いに悲しむべきことです。いじめの事実に気づかなかった、あるいは知らぬふりをした教師や学校はもとより、教育行政を担当する地方公共団体と国の責任は重大であると思います。高校の単位履修不足の問題に関しても、学校側の責任も大きいと思いますが、その事実を確認していなかった教育行政機関には、より大きな責任があると思います。改正された教育基本法では、国が定めた教育計画に基づき、地方公共団体と学校が連携をとって、それを実行するという条項が盛り込まれました。教育行政機関は、然るべき政策によって、教育現場とともに諸問題を解決しなければならない立場であることが明確になったと解釈しています。今後の動きを注目したいと思います。

 2007年の教育界は、大学全入時代の幕開け、そして団塊世代教員の大量退職による教師の大幅な入れ代わりがある年です。大学全入時代とは、少子化の影響で大学・短大志願者数と大学・短大の入学定員が同数になる時代のことで、大学や短大を選ばなければ誰でも入れる時代の到来を意味します。しかし、現実には都市部の有名大学に志願者が集中し、高倍率を示し、地方の大学・短大では志願者が入学定員に満たないところもあるという状況であり、その傾向は既に2000年ごろから表れています。短大や女子大などを中心に生き残りをかけて4年制大学への昇格や男女共学化を進めていますが、志願者が集められない大学・短大は募集停止や廃校に追い込まれたり、有力大学に吸収合併され消滅するという「大学淘汰」の時代が到来します。

 団塊世代は、第二次世界大戦直後の1947年から1949年にかけての第一次ベビーブームに生まれた世代を指しますが、2007年に60歳を迎え、大量の退職者が生まれます。これは、教員の世界でも同様です。そして、新任教員が採用され、教育現場も若返りが目立つようになるでしょう。しかし、複雑な問題を抱える学校現場でのストレスによって、休職率や離職率も高まっています。子供たちをコントロールしきれないための学級崩壊、多様化する保護者の要求に対するプレッシャーなどで押しつぶされる教員もいます。ストレスを発散するためでしょうか、性犯罪に手を染める教員までいることには驚きを隠せません。教員の質的向上は教育行政の重要課題であると思います。

 新しい年は、昨年と同様に予想外の教育問題に関する事件も発生するでしょう。そして、それらの事件においては、いじめの問題にしても、高校の単位履修不足問題にしても、いつも被害者は子供たちです。学校現場も教育行政も、そして保護者も、未来の世界を支える健全な子供たちを育てるという使命を肝に銘じるべきだと考えます。あくまでも主役は子供たちであることを忘れてはなりません。

 

                〜Weekly Business News 2007年1月1日号掲載

 

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