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アメリカ暮らしの子供の教育を考える
米日教育交流協議会 代表 丹羽筆人
昔話や民話を読む機会を増やし、 日本の文化に親近感を持つことが大切 日本には数多くの昔話や民話が残されていますが、多くの方がいくつかの作品の内容をご存知だと思います。しかし、アメリカ生まれや、乳幼児期に来米した場合、日本の昔話や民話を知らないという子供もいます。また、知っているとしても、好きではないということも多いようです。日本の昔話や民話に登場する場面は、あまりにも日常の生活とかけ離れていてイメージしにくいのです。一方で、アメリカのキンダーガーテン、デイケアやナーサリーなどで読み、聞く機会の多い欧米のお話の方が馴染みやすいのも当然のことです。ただし、日本の昔話や民話と触れる機会が少ないことは、その後の日本語学習にとってマイナス要因となります。 日本の昔話や民話は日本人の生活の中から生まれ、生活を通じて伝承されてきたものです。つまり、日本の文化そのものです。話を通じて、それぞれの時代や地域によって異なる衣食住などの生活形態や生活習慣(年中行事)、周囲の環境、言葉(方言)を知ることができますし、話に登場する日用品(編み笠、蓑、わら草履、かまど、囲炉裏など)の用途や名称も理解できます。さらに、日本人のものの考え方、行動パターンなどを知ることもできます。このような日本の文化は、日本の教科書など学習教材の文章中にもふんだんに盛り込まれています。つまり、幼少時に易しい昔話や民話で日本の文化を吸収しておくことは、その後の成長過程で徐々に難度を上げながら与えられる教材中の文章を読み取る際の助けになるということです。逆に、そうでない場合は、日本語の多くの文章に違和感を持ち、日本語が理解できるかどうかの前に、読みたくないという気持ちが先行してしまうのです。 アメリカにおいては、日本の昔話や民話に関する書籍を入手することは困難ですが、日本語補習校の図書室や地域の図書館にも置かれていることがあります。身近にそのような施設がなければ、一時帰国の際に購入するか、日本から取り寄せるなどしてでも、入手して読む機会をつくるべきでしょう。と言っても、日本語の習得が不十分な場合、自ら進んで読むということはなかなかできませんので、保護者が読み、聞かせるという努力も必要になります。また、テレビで放映された「まんが日本昔話」などのビデオを見せるとよいでしょう。子供が自力で昔話や民話の内容を吸収できますし、映像ですから場面のイメージもしやすいので、書籍を読むことと併せて実践すると、より効果的です。このように、遅くとも小学校低学年までに昔話や民話を通じて日本の文化を吸収しておくことで、その後学習する日本語の文章に親近感を持つことができ、読解力の向上にもつながるのです。 既に小学校高学年以上になっている場合には、欧米の文化が定着し、日本語や日本文化に違和感を持っている子供が目立ちます。彼らは易しい昔話や民話ですら敬遠することもありますので、文章や映像ではなく本当の日本文化を五感で味わうことによって、そのすばらしさを実感させることが必要になります。私が、日本での日本文化体験学習プログラムを企画し、実施している意図がそこにあるのです。
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~Weekly Business News 2007年1月26日号掲載
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