継承日本語教育を考える

〜日本に長期滞在する場合、日本語能力が必要?

 

 米日教育交流協議会
代表 丹羽筆人

 

政府の規制が日本語学習者の希望の芽を摘まないことを望みたい

 

 昨年、日本に入国した外国人の数は過去最高の915万人だったそうです。そんな中、政府が日本に長期滞在する外国人の入国と在留の条件として、日本語能力を重視する方向で検討を始めたというニュースが報道がされました。少子・高齢化によって単純労働者が不足、外国人労働者の受け入れが増加する一方で、外国人とのトラブルも頻発していることがその理由のようです。今後の議論によっては、日本語能力がビザの取得や更新時に必要とされるシステムができることも想定されます。

 日本では、特に愛知、群馬、静岡などで日系ブラジル人の移民が増加、学齢期に当たる子どもも多数存在し、その子どもを受け入れている学校で、日本語教育や生活指導面において苦労しているというケースが目立っているそうです。

アメリカでは長期滞在する場合、非移民も移民も米国市民権の申請でない限り、英語力を問われることはありません。また、公教育機関は、学齢期の子どもがいれば英語ができなくても受け入れてくれます。英語力を強化する外国人のための英語教育のクラスも特設されています。日本人の子どもの多い学校には、日本語のできる補助教員も雇用されています。

従って、先述した日本の対応や現状をお読みになられて違和感を持たれる方も多いのではないでしょうか。私もそんな中の一人です。そして、将来、わが子が米国市民となり、生まれた孫が日本語ができないことを理由に、日本に暮らすことを拒否されることがあれば、それはとても悲しいことであるという思いを募らせてしまいました。読者の皆様の中には、日本に暮らしてみたいと仰っている米国市民のお子様やお孫さんをお持ちの方もおられるのではないでしょうか。

私が主宰する「米日教育交流協議会」では、アメリカで生まれ育った子どもが、母語または祖国語としての日本語を継承できるような教育の機会を用意しています。また、アメリカ人で日本語や日本文化に興味のある子どもや若者に対する日本語教育の機会提供も行っています。しかし、日常的に英語やアメリカ文化に囲まれていると、そう簡単には日本語力を上達させることはできません。日本語力の向上のためには、日本に長期滞在して日本の文化ともに吸収するのが一番なのです。できれば、ビザを取得が必要な3ヶ月以上の長期間滞在をすることが望ましいとも考えています。

今回の政府の動きが、結果としてどういうシステムを生み出すかはまだ分かりませんが、日本人の血を引き、祖国(母国)で暮らし、祖国語や母語を学びたい、そして祖国(母国)に貢献したいというようなな日系人の子どもや若者の希望をも奪うことにもなりかねません。また、同様な希望を持つ外国人の在留にも支障があるかもしれません。

政府はやりすぎにならないようにとか、貴重な人材が日本に来られなくなることのないようにしたいという見解を示していますが、私もそうあってほしいと切に願っています。

                        ~「週刊ビジネスニュース」 2008年2月1日号掲載

                                

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