日米の教育事情

〜急な帰国命令にあわてないために

 

 米日教育交流協議会
代表 丹羽筆人

 

帰国を意識した対策を心がけておきたい

 

 昨秋の金融危機の影響で世界の経済情勢が悪化しています。それに加えて、異常な円高が日本の企業に大きな打撃を与えています。米国の市場においても業績の低下が見られ、最近は急な帰国命令を受ける駐在員が目立っています。

 ようやく英語が分かるようになり、アメリカの学校も楽しくなってきたのに残念とか、日本の学校に関する知識がないので不安などという声を耳にします。海外赴任は親の仕事の都合であり、子どもの意思ではありません。また、帰国も同様です。しかし、苦労するのは子ども自身です。その苦労を少しでも和らげてあげたいものです。

 急な帰国命令が出た場合、帰国後に子どもが通学する学校選択に注意を払っていただきたいと思います。特に、言語能力が英語に偏ってしまった子どもの場合、できるだけ帰国生の多い学校を選ぶのがよいでしょう。帰国生がいないような学校では、日本語の問題によって、心ない「いじめ」に遭うこともあるからです。日本の生活に慣れる間の数ヶ月は、インターナショナルスクールに通学するのもよいでしょう。英語で勉強しながら、日本での生活を通じて徐々に日本語に順応することができるからです。

 また、赴任したその日から、いつ帰国命令が出てもよいように準備しておくことが必要です。日本語学習に力を入れ、学年相応の実力を身につけておくことはもちろん、日本の生活習慣にも適応できるようにしておくのが大切です。特に学校生活に馴染めないことは子どもにとって最大の苦しみです。そういう意味で、補習校は日本語学習のみならず日本の学校生活を体験する良い機会です。さらに、夏休みには日本の学校で体験入学をすることをお勧めします。補習校では経験できない給食や掃除の時間、そして多くの同年代の子どもと接することができることが大きなメリットです。帰国後に通学予定の小学校や中学校への体験入学をしておけば、同学年の子どもには顔見知りも多くすぐに馴染めるので、帰国した時には安心です。

 次に、帰国後に国私立の小中学校、または高校に入学を希望している場合は、入学試験が必要ですから、その準備を進めておくことも大切です。試験の内容は学校や受験の時期によって異なりますが、作文(小論文)と面接は必ず必要だと考えてよいでしょう。国語や算数(数学)はまずまずできるが、日本語で文章を書くのが苦手とか、敬語を上手に使えないという子どもが目立ちます。作文(小論文)や面接の試験を行うのは、日本語力のみならず、子どもの考え方や性格を判断することもできるからです。作文(小論文)や面接の対策は、家庭でも十分にできます。小学生は日記を書く、中高生は新聞の社説を読み要旨をまとめ、筆者の考えに対する自分の意見を述べると言う練習を積むと良いでしょう。親御さんは子どもの書いた文章の漢字や表現の誤りを指摘し、内容に関し意見や感想を伝えてください。また、面接対策のためには、日ごろから主語や述語を明確にして詳しく説明させることを習慣づけましょう。

 このように、急な帰国命令が出てもあわてないためにも、帰国を意識した対策をこころがけることが大切です。

 

                       

                 ~「週刊ビジネスニュース」 2009年2月27日号掲載

                                

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