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日本の教育事情
米日教育交流協議会
小中学校の授業時間数の増加。大学のAO入試が迎える転機。
この教育コラムにて幾度も取り上げた「学力低下」の問題に対して、国の動きが出始めました。2月15日に発表された小中学校の学習指導要領の改定案では40年ぶりに総授業時間数と学習内容が増え、これまでの「ゆとり教育」から転換し、学力重視の姿勢が明確に打ち出されています。改定後の総授業時間数は、小学校で約5%、中学校で約4%増加しますが、特に算数・数学は約18%、理科は約23%も増加します。11年度の小学校、12年度の中学校の全面改訂に先立ち、09年度から理科や算数・数学の授業時間数を徐々に増やしたり、前倒しで改定後の学習の基礎的内容を教えたりという段階的な移行が行われるとのことです。 この改定は、最近の国際的な学力テストの結果から考えると必要不可欠なものですが、補習校に在籍する子どもたちにとっては、かなりの負担がかかることが想定されます。年間40〜42日間程度の授業日で、学習指導要領が定める授業時間数増加分の内容を学習することは、今まで以上に大変です。現行カリキュラムでさえ、短時間に凝縮された授業を聞き、家庭学習でその不足分を補ってきたのですが、さらに授業進度が急速となり、家庭学習量も増加するでしょう。理科や社会は補習校での授業時間数が少なく、一方で覚えるべき用語も多く、子どもたちにとって負担の多い教科ですが、特に理科はかなりの負担増になります。補習校の先生にとっても授業の進め方に対する工夫が求められます。 この学力重視の動きは、大学入試にも現れています。学力だけではなく、書類審査や面接、小論文を重視して合否を決定するAO入試は、2000年代に急激に増加し、約6割の大学が導入しています。この入試が大学生の学力低下を招いているという批判が浮上しており、AO入試を廃止したり、AO入試に学力試験を課すという動きが出始めました。既に、九州大、筑波大、一橋大などの一部の学部ではAO入試を廃止することを決定しています。これらの大学ではAO入試廃止の理由として、一般入試の学生と比較するとAO入試の学生の学力が低いことを挙げています。一方で、少子化の中で受験生の受け易さを狙ってAO入試を導入している大学では、学生の学力低下は承知しながら、少しでも早く、より多くの学生を確保したいという生き残りをかける大学経営者の思いが先行し、廃止よりも拡大路線へと目が向いているようです。しかしながら、中央教育審議会や文部科学省からは一定の学力試験を行うべきだという声も上がっており、今後はAO入試にも変化が見られそうです。 元々は、アメリカの大学の入試システムに見習い、学力試験の結果では判断できない、優れた能力の学生を発掘するという目的で導入されたAO入試ですが、実は、大学側にとっても労力がかかり、試験官の能力が必要な入試なのです。有能な学生を見抜けず廃止したり、有能な学生を見抜こうとせず導入を継続する大学側の姿勢にこそ問題があるのではないでしょうか。 また、近年、帰国生入試枠がAO入試に取って代わられたり、吸収されたりする傾向もありますので、海外在住者にとっては今後の動きが気になるところです。
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~「週刊ビジネスニュース」 2008年2月29日号掲載
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