日本の伝統文化を考える

〜ゴールデンウィーク中の四つの祝日

 

米日教育交流協議会
代表 丹羽筆人

 

祝日の意義を理解し、それにまつわる年中行事を通じて日本人の心を教えたい

 日本では4月末から5月上旬はゴールデンウィークと言われる大型連休の期間です。今年の場合、休日が4月28日から5月6日まで9日間連続という人もいるようです。アメリカではこの間には全く祝日がありませんが、日本企業では日本とのやり取りがないために、仕事が少し楽になることもあるようですね。

 ところで皆さんはゴールデンウィーク期間中に祝日が四つあるのをご存知ですか。5月5日の「こどもの日」と5月3日の「憲法記念日」はご存知の方も多いでしょう。また、4月29日も昭和時代の天皇の誕生日としてなじみがあるでしょう。この日は昨年まで「みどりの日」でしたが、今年から「昭和の日」となり、5月4日が「みどりの日」となりました。「みどりの日」は新緑の季節であり緑豊かな自然に親しむ上で絶好の時期であることを踏まえ、官公庁や環境保護関係の組織を中心に国民が自然に親しむための各種行事が催されます。また、国立公園が無料で開放されます。「昭和の日」は、祝日法の定義・趣旨によると「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、将来に思いをいたす」日ということです。国の定めた祝日でなければ「休まない(休めない?)」という日本の企業の慣例を考慮し、休業日を増やすため徐々に祝日が新設されつつあります。

 さて、これらの祝日の中で一番なじみがある「こどもの日」は、「憲法記念日」と同じく1948年の祝日法に定められた祝日ですが、それ以前は「端午の節句」という男の子の健全な成長を祝う日でした。「端午の節句」は、もともと中国から伝えられた女の子の行事でしたが、鎌倉時代頃から男の子の行事へと変化し、鎧、兜、刀や武者人形を飾ったり、鯉幟を揚げるという現在にも伝わる風習が生まれました。現在では男の子と女の子の両方の成長を祝う日と定められていますが、一般的には男の子の行事として定着しています。

 一方、3月3日の「桃の節句」は「上巳(じょうし)の節句」とも言い、体の穢れを落とすために草やわらで作った人形を海や川に流すという農村の行事でした。「ひな祭り」はそれとは起源を異とし、貴族の女の子の人形遊びが武家社会に広がり、江戸時代に庶民に浸透した頃、現在のようなひな壇に人形を飾る慣わしができたようです。この3月3日は祝日ではありませんが、現在は女の子の成長を願う行事として定着しています。

 「桃の節句」も「端午の節句」も中国から伝わった五節句に属し、月日が同じ奇数と奇数で重なる時に現れる邪気を祓うための儀式が行なわれていました。つまり、性別はもちろん年齢も関係ない年中行事だったのです。それが時代を経るにつれてそれぞれ男の子と女の子の行事に差別化され、今に至っています。名実共に男女平等が定着しつつある現代社会においても性別を限定する慣習が残っている背景には、男女を敢えて区別することによって、お互いの長所を尊重し、欠点を補う態度を育みたい、そして男女が力を合わせて欲しいと願う日本人の心があるのではないでしょうか。年中行事はそのような日本人の心を教える大切な機会でもあると思います。 

 

           

           ~Weekly Business News 2007年5月4日号掲載

 

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