日米教育事情

〜日本の子どもも漢字が書けない?

 

米日教育交流協議会
代表 丹羽筆人

 

正しい漢字と意味を調べ、繰り返し書く練習を心がけることが大切

 5月8日付の毎日新聞に掲載された日本教育技術学会発表の調査結果によると、漢字の書けない小中学生が目立つことが分かりました。前学年に履修した漢字の習得状況調査では、「読み」は各学年共に正答率は9割台でしたが、「書き」は学年が上がるにつれて落ち込み、4年生以上の正答率は6割台でした。小6では「支持」を正しく書ける児童はわずか7%で、「指持」と誤った答えが目立つとのことです。以下に各学年の正答率の低い漢字とその誤答例を紹介します。誤答例は( )内です。小2「一つ」70.8%(人つ)、小3「海外」37.4%(会外)、小4「放す」29.1%(話す)、小5「関心」20.7%(感心)、中1「従来」15.5%(住来)、「沿線」15.6%(遠線)。

 同学会によると日常生活に使用することのあまりない漢字で誤りが目立つということですが、海外に暮らす子どもが日常生活で使用する漢字は日本の子どもに比べて極端に少ないと言えますので、そう考えれば本当によくがんばっているのだと改めて感心させられました。きっと小3に出題された「海外」の正答率は日本の子に勝てるのではないでしょうか。

 このように漢字の「書き」の正答率が低いことの一つには文部科学省の学習指導要領が影響していると思われます。指導要領では漢字について学年別漢字配当表の当該学年に配当されている漢字を読むこと、そして全学年に配当されている漢字を書き、文や文章の中で使うとともに、当該学年に配当されている漢字を漸次書けるようにすることが目標として記載されています。つまり、漢字を習った次の学年で書けるようにすれば良いことなっているのです。この調査は04年の4〜5月に行なわれていますので、前学年で履修した漢字の「読み」は定着していたものの、「書き」については未だ学習中であったと言えます。次学年において前学年の漢字がどのように指導されているかは、学校や教師によっても異なると思いますが、「読み」を優先する方式は書くことを嫌う子どもを生み出しているようです。

 海外に暮らす子どもの場合、漢字を読む力は日本の子どもに比べると圧倒的に低いです。音読の際、漢字どころがひらがなでつかえてしまう子どもも目立ちます。それは語彙力の不足によるものです。また、海外で生まれたり、海外生活が長くなると正しく発音することにも支障が出てきます。日本語独特の発音を語意とともに正しく身につけることが大切です。さらに、漢字の「書き」は見慣れない上に画数の多い字もあり覚えるのが大変です。まさに複雑怪奇な記号であるとも言えます。かつてはそれを記号として覚え、読めないにもかかわらず驚くほど書けるという子どもがいました。

 しかし、最近では書くのが面倒で知っていてもひらがなでしか書こうとしない子どもが目立ちます。これは日本でも同様であると思われます。先述した学習指導要領の影響もさることながら、物心ついた時からパソコンに慣れ親しんでいる子どもたちは、キーボードを叩くことの便利さを知ってしまったのです。そんな時代だからこそ、辞書を引いて正しい字や意味を調べ、手が痛くなるほど書いて学習することの大切さを教えるべきでしょう。 

     

         ~Weekly Business News 2007年5月18日号掲載

 

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