少子化時代の教育事情  

〜進む「公立校離れ」と「私立志向」

 

米日教育交流協議会

代表 丹羽筆人

 

帰国後の学校選択は早めに考えておくべき

 2005年に日本の人口が史上初めて減少しました。2050年には1億人を割るとの予測が立てられているようです。日本の人口減はここ数年続いている少子化が影響しています。少子化は教育現場に大きな影響を与えています。 1クラスの児童・生徒数45人。教室が足らず校庭に仮設されたプレハブの教室で行われる授業。毎年増加する新設校。これは6080年代に見られた状況です。それが現在では1クラスの児童・生徒数2030人となり、空き教室が現れ、各地で学校の統廃合が行われています。このような少子化の影響下、子供たちはどう変わったのでしょうか。

 少子化によって教師や親は一人一人の子供に行き届いた教育を提供できるようになりました。教師1名に対する児童・生徒数、1世帯あたりの子供の数を考えれば一目瞭然です。これは決して悪いことではありません。しかし、公教育現場が文部科学省の方針「ゆとりの教育」の実践に取り組むことにより、逆に「学力低下」が懸念されています。また、常に気配りしないと落ち着かず荒れる子供の増加による「学級崩壊」も問題となっています。こうして「公立校離れ」が進み、少子化によって子供一人当たりに教育費がかけられる家庭も多く、特に大都市圏において「私立学校志向」が高まっています。首都圏の小学6年生のうち3分の1が中学受験をするそうです。「受験戦争」は大学入試の代名詞ではなく、中学入試や小学校入試のものとなりつつあります。このような状況下で友達と遊ぶこともなく、塾教師や親と受験のためのお勉強をすることに多くの時間を費やす子供たちが増加しているのです。

 現在アメリカに在住されておられる多くの方は、お子様にアメリカの学校で自由にのびのびとした教育を与えておられることと思います。しかしながら将来的に帰国予定の方々を待ち受けているのはこのような状況です。アメリカで子供たちは自由で独創的な感覚や英語力を身につけています。逆に漢字や語彙を初め日本語力は不十分なものとなっているケースが目立ちますし、お受験型の機械的にスピーディに問題を解く学習にも不慣れでしょう。日本は自国でも子供たちにとって日本の学校や学習塾は異質の環境に感じることでしょう。ましてや、帰国が決定したからと言って、いきなり「受験戦争」に突入するというのでは拒否反応も大きいと思います。それぞれの子供たちの現状や志向を認識し、長所を伸ばし、短所を補えるような環境を与えてあげることは親の務めです。将来の帰国時の転入先をどうするか、そのためにはどんな準備をするのかを早めに考えておく必要があるでしょう。

                〜Weekly Business News 2006年5月19日号掲載

 

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