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帰国子女大学入試事情 〜国立大学の9月入学実施の影響
米日教育交流協議会
大学入試の帰国子女枠が消える? 政府の教育再生会議が6月1日の総会で、第2次報告「公教育再生に向けた更なる一歩と『教育新時代』のための基盤の再構築」を正式決定しました。先週話題にした、「授業時間数10%増」確保のための土曜授業、道徳教育に代わり「徳育」を「新たな教科」として創設することの他、小学校で集団体験、中学校で職場体験活動を各1週間実施、全国立大で9月入学導入、全国学力テストの成績不振校に改善計画書を提出させ、予算や教員定数、人事面で支援、テレビ視聴の抑制など「子育てにかかわる科学的知見」を情報提供することなどが盛り込まれています。「徳育」については、「多様な教科書(これは検定教科書のこと)と副教材」で指導するが、点数評価はしないこととなりました。土曜授業実施、徳育、体験活動については、学習指導要領を改定し、来年度から実施するという早い動きが予定されています。 ここで注目したいのは、全国立大学で9月入学枠を設けることです。これも学校教育法施行規則を改正し、来年度から導入する予定とのことです。現在、国立大学で9月入学を導入している大学は、東北大、秋田大、筑波大、新潟大などの一部の学部のみです。私立大学においても、上智大、国際基督教大、関西大などの特定学部のみです。現状では高校は3月卒業であり、9月入学というのは中途半端なのです。ただし、6月卒業の国に在住する帰国生にとって9月入学は無駄がなく大変ありがたいシステムです。しかし、9月入学が導入されると、4月入学枠の帰国子女入試枠は姿を消す可能性もありそうです。 まず、帰国子女の多くは無駄のない9月入学の枠に流れ、徐々に4月入学枠の利用は減るでしょう。また、9月入学はアメリカの大学の入学システムを取り入れたものです。現在の9月入学の大学の多くが入学者の選抜をアメリカ的なAO入試(アドミッション・オフィス入試)を導入しています。新しく9月入学枠を設ける大学の多くはおそらくAO入試を行い、9月入試枠の入試の主流となるでしょう。そして、AO入試を導入した多くの大学が帰国子女枠をAO入試内に組み込んで廃止したことを考えると、9月入学実施大学の帰国子女入試枠は消滅することは必至です。さらに、全国立大学が9月入試枠を設けることは、やがて公私立大学にも9月入学枠設置校が増加する可能性を秘めています。かつて、大学入試センター試験を利用する公私立大学はごく少数だったにもかかわらず、今では大部分の公私立大学が利用していることを考えてもそれは十分に予想できます。 多くの大学で9月入学が導入されれば、帰国子女入試の様相は大きく変化します。帰国子女枠という特別入試ではなく、日本全国の高校で文武両道で活躍し、特定分野での優れた能力を持った優秀な生徒と対等に戦わねばならない日がやってくるのです。つまり、優れた学校の成績、課外活動での目立った活躍、統一試験の高いスコア、そして日英両語で自分の意見を論述したり、口頭で述べることのできる力がより一層必要になるのです。
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~Weekly Business News 2007年6月8日号掲載
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