日米の教育事情
〜海外の子どもにとって大切な学校行事

 

 米日教育交流協議会
代表 丹羽筆人

 

日本の文化を肌で感じるための絶好の機会

 

日本人学校や補習授業校の年間行事の中でも、運動会は最も多くの人々がかかわり、注目されている行事ではないでしょうか。私の勤務するデトロイト補習校では、幼稚部、小学部、中学部、高等部の園児・児童・生徒約900人が一堂に会して参加する、名実ともに「大運動会」が催されました。競技に参加する園児・児童・生徒や教職員は、新学年が始まる4月から準備を進めますが、会場設営や競技の進行、また事前の備品の準備などは多くのボランティアの保護者の方々の協力に支えられています。これは他の補習校や日本人学校でも同様だと思います。このような献身的な活動をしていただけるのも、海外生活ではおろそかになりがちな日本語や日本文化を子どもたちに学んでほしいという熱い思いがあるからだと思います。

その思いの通り、運動会において子どもたちは、数多くの日本語や日本文化を肌で感じることができます。自分が競技をするときや競技に取り組んでいる人を応援するために、運動会特有の日本語を自然に使えるようになれます。仲間と力を合わせて競技に取り組み、チームプレーの大切さを学ぶことができます。また、海外の学校は、幼稚園児から高校生が同じ場所で競技することも多いので、年長者が年少者の世話をしたり、年少者が年長者の競技を見て、将来の目標とするというような日本の学校にはない経験もできます。

海外の学校では、この他にも学芸会や音楽会、文化祭などの学校行事を行っています。また、ひな祭りやこどもの日、七夕、餅つきなどの日本の年中行事を学校行事に組み込んで実施している学校もあります。これらの行事からも、先述した運動会のように日本語や日本文化を体感することができます。

日本の文化や風習は海外ではイメージしにくいものです。それを日常の授業の中だけで学ぶことは大変難しいことです。実際に日本の行事を体験すると、それに使われるものの名前や、それを行うことの目的を知り、さらに日本人の心をも知ることができます。例えば、七夕で使われる笹や短冊などは海外ではなじみの薄いものです。七夕の由来となった織姫と彦星の話を聞いて、「怠けないで働くこと」の大切さを感じさせられます。さらに、夜空を眺めて星座を観察するきっかけにもなります。昔の農作業や手工業に関心を持つこともできるでしょう。そして、何と言っても楽しい行事は日本語学習の強い動機付けになります。楽しい学校行事を経験しただあとは、日本語学習に一生懸命に取り組むようになったという話もよく耳にすることです。

海外の学校では既に多くの学校行事が取り入れられており、特に授業日数の少ない補習校においては、これ以上増やせないという状況にあるかもしれません。しかし、時間の許す限り、子どもが楽しんで取り組めるもの、日本語や日本文化の理解につながるものを取り入れていただきたいと思います。それを提案するのは、子どもに日本語や日本文化を学ばせる必要を感じている保護者の皆さんです。今後も、子どものための学校行事が盛んに行われること、それらの効果が発揮されることを願っています。

                       

                 ~「週刊ビジネスニュース」 2009年6月26日号掲載

                                

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