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日本の伝統文化を考える 〜未来に末永く継承したい年中行事
米日教育交流協議会
元来の形式を守るとともに、現代社会の諸事情に合わせることも必要 7月7日といえば七夕ですね。日本の多くの学校や幼稚園、公共施設などでは竹が用意され、児童や園児が短冊に思い思いの願い事を書いて笹に飾っています。在アメリカの日系の学校や幼稚園でも立派な竹を用意して美しい飾り付けがなされているところもありますね。 この七夕ですが、3月3日の上巳(じょうし)の節句や5月5日の端午の節句と同じく五節句の一つで、中国から伝わった行事が日本風にアレンジされて現在の形式になったものです。七夕は7月7日の夕方という意味です。それは、働き者だったにもかかわらず結婚後働くことを怠り、天帝の怒りによって仲を引き裂かれた織姫と牽牛が天の川を渡って再会できるのが7月7日の夜という七夕伝説に由来しています。一方、七夕を「たなばた」と読むのは、日本の「古事記」に記されている棚機津女(たなばたつめ)の伝説に由来しています。七夕伝説とは異なり、村を災いから守るため神の妻になることになった棚機津女が神の衣を機で織るというお話です。このように若い娘が村を救うために、神の捧げものになるという話は日本の各地に民話として残っていますが、中国から来た伝説の方が多くの人にとってなじみがあるでしょう。ただし、伝説の主役は日本も中国も機を織る娘です。七夕伝説は中国でいくつかのバリエーションがあるようですので、日本の棚機津女の伝説も日本風にアレンジされたものなのでしょう。 さて、年中行事としての七夕は伝説とともに中国から伝えられたものですが、短冊に願い事を書くのは日本だけのようです。織姫に因み針仕事の上達を願う行事が宮中に伝わり、それが江戸時代に庶民に浸透し、手習いの上達を短冊に記すようになったといわれています。江戸時代は寺子屋で庶民が「読み書き」を習うようになったことから考えると、短冊に願い事を書く風習の火付け役は寺子屋たっだのかも知れませんね。そして、今も特に学校でそれが受け継がれていることは興味深いことです。 七夕は元来旧暦7月7日の行事ですから、年によってその日付は変わりますが、概ね8月中旬に行なわれていました。旧暦7月15日はお盆であり、かつては七夕も盆行事の一部だったようです。現在、学校や家庭などで七夕行事は新暦で行なわれていますが、盆行事は月遅れで行なうところが多いです。旧暦では日付が毎年ずれるので月遅れの8月15日に固定するようになったのでしょう。従って、七夕とお盆は無縁の行事として受け止められている方も多いと思います。しかし、各地の七夕祭りに目を向けると、盆行事と同様に月遅れの8月7日頃に行なうところが多いようです。盆休みに帰省する出身者や、休みを利用して訪れる観光客を意識しているのだと思われます。 このように元来旧暦の行事を新暦で行なったり、月遅れで行なうことは、本来の季節感とのずれが生じますが、現代社会の多くの人々には違和感もないでしょう。昔の形式を守りながら、その伝統を未来に末永く継承できるよう、現代社会の生活に合わせることも大切だと思います。そう考えれば、ここアメリカでも日本の伝統行事は継承できるのです。 |
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~Weekly Business News 2007年7月6日号掲載
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