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在米日本人子女の教育を考える 〜社会科の学力向上は小論文作成にも効果的
米日教育交流協議会 代表 丹羽筆人
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最新のニュースを話題に家族で話し合うことも大切 今週も引き続き社会科の学力をいかに向上させるかについて述べたいと思います。 海外子女教育振興財団の月刊誌「海外子女教育」の5月号に補習校に関する記事が特集されていました。掲載されていた保護者のアンケート集計結果を見ると、補習校になくて必要だと思った科目はという質問に対する回答のトップが社会科でした。日本の地理や歴史に関する常識的な内容や時事問題に関して教えて欲しいという要望が高いようです。 このアンケート結果の背景には、先週も述べましたように海外においては社会科を学習する機会に恵まれないケースが目立つということがあります。特に時事問題に関する学習機会は少ないです。政治・経済や現代社会の分野は小学校6年生の3学期、中学校3年生で学習するだけです。小中学校は日本でも同じですが、アメリカの補習校での授業時数は3分の1以下です。また、補習校高校部で政治・経済や現代社会の科目を置いているところはごくわずかです。つまり、アメリカの子供たちが日本の時事問題関連の学習をする機会はかなり少ないのです。にもかかわらず、この分野の内容は用語も難しく理解するのが大変です。そして、これらの知識が将来の帰国子女入試の作文や論文作成、面接には欠かせないものなのです。勉強はそれなりにしてきたのだけれど、自分の意見を求められたら頭が真っ白になってしまったという話はよく聞きます。 そこでお勧めしたいことは、保護者が一緒にテレビのニュース番組を見たり、新聞を読んだりして、社会のできごとについて話し合うことです。私が今まで行ってきた社会科の授業は、教科書の内容を一通り教えることより、歴史や地理、現代社会の問題について興味や関心を持たせるような動機付けとなる話をすることに主眼を置いています。例えば、ここ2〜3週間で起こった出来事を話題にして、その内容を解説し、子供たちがそれに対してどう考えるのかを発表させるというような展開をしています。これは少し前の授業例ですが、狂牛病対策として日本がアメリカ産牛肉の輸入を規制した事件をテーマとした時は、日本の方針を支持する子供とアメリカが正しいとする子供が真っ向から対立し激しい議論がなされました。「アメリカ人はいい加減すぎる。日本人が病気になってもいい問い思っているのか。」「日本人が神経質すぎる。私たちはアメリカの牛肉を食べているけど病気になってなんかいない。」などの意見交換が続きました。そのことによって子供たちはこの事件について内容まで理解することができたと思います。そして、私が輸入に頼っている日本の食料自給率の問題や、アメリカの農家もまた日本への輸出によって経済的に成り立っているという現状の説明へと発展させ、子供たちの学習にさらに広がりが出たのです。 補習校や日本の学校に通学していない方、通学していても社会科が設置されていない学校にいる方、また、お子様が社会科の学習をしていない方は、是非ご家庭でこのような話し合いをすることをお勧めします。事件の解説は分かりやすく丁寧にが基本ですが、事件に関する話し合いの場では、家族が反対意見に分かれて議論するととても面白く、かつ有意義なものとなりますよ。さあ、今日からでも始めてみませんか? 〜Weekly Business News 2006年7月7日号掲載
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