日本の教育事情

〜変わり行く公教育の現場(中学校)

 

米日教育交流協議会
代表 丹羽筆人

 

管理教育による画一化と高度情報化社会の下で潜在的に「いじめ」が進行

 日本での日本語・日本文化学習プログラム「サマーキャンプ in ぎふ」の実施のため、約1ヵ月半にわたり日本に滞在しました。今回は先々週に引き続き、その際に見聞きした話の中で、印象に残った日本の教育の現状について述べさせていただきます。

 80年代後半から数年前までの公立中学は全国的に荒廃していました。不良と呼ばれる生徒が校内をのさばり、服装の乱れや校内暴力を繰り返していたのです。しかし、最近の中学校にはそのような不良らしき生徒は見当たりません。服装も定められた制服をアレンジすることもなくきちんと着用しています。校内に入ると、すれ違う度に「こんにちは。」と明るい挨拶で出迎えられます。廊下や教室も美しく、トイレも清掃が行き届いていることが分かります。

 サマーキャンプでの受け入れ中学は岐阜県の里山にありますので、この地域特有の現象なのだろうと思っておりましたら、都市部や大都会の中学校でも同様であることが、いろいろな方々とお会いして分かりました。数年前まで全国の中学校では、荒廃を防ぐために不良生徒を撲滅すべく、入学時から服装やマナーなどを徹底させる教育に力を入れてきました。そしてここ数年の間にその成果が表れてきたとのことです。この中学でも数年前までは荒廃しており、とても海外からの生徒を受け入れられる状態ではなかったそうです。

 「清く明るく正しい」中学生の姿は決して悪いことではありません。しかし、それは独自性に欠ける画一化された姿にも見えます。しかし、現在の中学校で最大の問題となっている「いじめ」は教師や生徒が気づかないうちに行なわれ、自殺にもつながっています。これは、「いじめる」生徒と「いじめられる」生徒との違いがはっきりとせず、また、「いじめ」が見えないような形で行なわれる陰湿なものとなっているからです。例えば、かつては「いじめ」とは無縁であったクラスの優等生や部活動のリーダー的存在の生徒が「いじめる」側になったり、「いじめられる」側になったりもしているのです。

 また、「いじめ」は高度情報化の影響も大いに受けています。インターネットやE-メールが活用され、一斉に情報がばらまかれるのです。一夜にしていじめていた生徒が逆にいじめられる側にまわったケースもあります。自宅の部屋で密かに行なわれるために、教師はもちろんのこと、保護者も気づかないというのが現状なのです。

 かつては一目で分かる不良やいじめられそうな気弱な生徒を注目していれば防ぐこともできた「いじめ」は、中学生の「画一化」によって「一般化」してしまったのです。つまり、誰もが加害者や被害者になる可能性を秘めているのです。

 

                           ~Weekly Business News 2007年8月24日号掲載

 

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