日本の教育事情

〜子供は子供から学ぶ

 

米日教育交流協議会

代表 丹羽筆人

 

少子化時代は年齢差や性別の枠を越えた交流が必要

 日本の夏休みと言えば早朝の「ラジオ体操」が思い浮かびますが、それは既に過去のことのようです。確かに私が日本滞在中、早朝に子供達がはしゃぎながら歩いていく声を聞くことはありませんでした。ここ数年来、実施を担当してくれる人がいない、当番制にしても嫌がる人もいるなどの運営上の問題で廃止の動きが各地で相次いでいるようです。また、学習塾通いや深夜までゲームやコンピュータで遊ぶことによって早起きのできない子供が増加したことに、進行する少子化が相俟って参加者が減少してしまったこと、さらに最近では会場までの往復の安全管理の問題も影響しているようです。

 「ラジオ体操」は、健康管理や規則正しい生活習慣の維持に効果的であるのみならず、年齢差のある近隣の子供達や地域の住民との交流の場としても役立っていました。そこで出会った子供達と、午後から学校のプールで泳ぐ、公園で野球をする、誰かの家で遊ぶなどの約束をするという経験をされた方も多いのではないかと思います。しかし、最近の子供達は年齢差や性別の枠を越えた交流が激減しています。さらに家庭内においても一人っ子が増加していますので、自分と同じ年齢同士の交流しか経験のない子供達が目立つのです。

 では、このような状況は子供達にどのような影響を与えているでしょうか。自分中心で周囲が見えていないために、以前にも述べたような言葉遣いの悪い子供、特に目上の人に敬語の使えない子供、人の話が最後まで聞けない子、そして集団の中での協調性に欠ける子などが目立ってきているのです。

 しかし、全く違った動きも現れています。最近の日本ではスポーツ少年団や少年少女合唱団などの活動が活発化しています。小学校低学年から中学生までの幅広い年齢層で組織され、共に練習に励んでいます。ここでは中学生を初めとする上級生は下級生にとって憧れの目標であり、面倒見の良い兄や姉となっています。私が主催する「サマーキャンプ in ぎふ」の参加者が交流活動を行った地元のバレーボールチーム(岐阜県揖斐郡谷汲のウインディーズ)にはまさにその姿が顕著に見られました。大きな声での挨拶の励行はもちろん、監督のアドバイスを聞くときの姿勢は監督が立っていれば直立で座っていればはひざまずいて、常に目を合わせられるように心がけるなどの行動が年齢を問わずすべての子供達に徹底されていました。最初は監督の指示で行われたようですが、上級生が良い見本となり、下級生に自然に受け継がれてきたとのことです。練習中であっても監督や親の前を横切るときは頭を下げる礼儀の良さには私もいささか驚きました。そして、このチームと一緒に交流活動を行ったアメリカ在住の子供達にも自然にそのような態度が見られたのです。子供は親や教師が頭ごなしに教えるより、身近な子供達から学ぶということを改めて実感しました。

 

        〜Weekly Business News 2006825日号掲載

 

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