日本の教育事情

〜海外帰国生入試で躍進する早稲田大学

 

米日教育交流協議会

代表 丹羽筆人

 

相次ぐ入試改革と学部・学科の新増設が志願者数の増大に影響

  9月5日の早稲田大学を皮切りに、2007年度の海外帰国生の大学入試が始まります。近年、大学入試における海外帰国生の数は、少子化、海外赴任者の低年齢化の影響を受け、1994年度をピークに減少の一途をたどっており、3040%の大学で海外帰国生枠がありながら入試が行われていません。

 しかし、この状況下においても、ここ数年志願者数が増加しているのが早稲田大学です。2006年度入試の志願者数の合計は973人と前年の795人を大きく上回りました。この数字には海外帰国生をAO入試枠で選考している国際教養学部の数字が入っていませんので、それを加えるとほぼ1000人となり、近年で最低だった2000年度の492人の約2倍に増大したことになります。2005年度の海外帰国生の大学入学者数が約1300人であることを考えると、早稲田大学の志願者数がいかに多いかお分かりいただけるでしょう。

 では、なぜ早稲田大学の志願者数がこのように増加したのでしょうか。それには、入試制度の改革や学部・学科の新設が影響しています。まず、2003年度には書類選考を廃止して、出願条件も大幅に緩和しました。外国学校での継続在籍年数を3年から2年にし、日本の高校での在籍年数は1年以内という条件も撤廃しました。また、単身留学者の受験も全学部で認めました。さらに2004年度は国際教養学部の新設、政治経済学部の中に国際政治経済学科を増設して海外帰国生の注目を集めるとともに、一部の学部を除き「共通試験」を導入、入試日を4月入学の入試で一番早かった慶応義塾の前に設定したことなどが功を奏し、志願者数が約300人増加しました。そして、その後も入試日をさらに前倒し、2005年には国際教養学部の海外帰国生入試枠をAO入試に一本化、2007年度には第一文学部と第二文学部を文学部と文化構想学部に、理工学部を基礎理工学部、創造理工学部、先進理工学部に改組する予定であり、相次ぐ改革によって志願者数にも影響を与えそうです。

 ここで、早稲田のライバル慶應義塾大学の志願者数を見ますと、1999年以降、増減はあるものの約360人から約430人の間でほぼ安定しています。このように志願者数において早稲田大学と異なる様相を呈している背景には、入学者の選考方法の違いがあります。慶應義塾大学はTOEFLSATなどの統一試験のスコアが合否の決め手となっていますので、統一試験で思うようにスコアが取れなかった受験生は慶應義塾大学の出願をあきらめる傾向にあります。慶應義塾大学も入試制度の改革は行っていますが、志願者数が大きく変動しないのにはこの選考方法が影響しています。一方、早稲田大学は統一試験より入試を重視しますので、統一試験のスコアに関わらず出願することができます。早稲田大学の志願者数の多さはここにも要因があるのです。

 最後に、各々の大学の合格者は、統一試験の対策も現地校の学習や活動も入試の学習も、すべてきちんとこなした受験生であるということを申し上げておきます。

 

 

        〜Weekly Business News 2006年9月1日号掲載

 

                             トップページ