日本の教育事情

〜少子化の影響で変わる日本の大学

 

米日教育交流協議会
代表 丹羽筆人

 

「入り易くても出難い」大学を目指した質的改革が求められる

 年頭のコラムで今年は大学全入時代が幕開けすると書きましたが、それは持ち越しとなったことが分かりました。景気の回復により経済的余裕の生まれた家庭の増加、大卒者の好調な就職状況による高学歴志向、そして少子化による大学入試の易化傾向などにより、大学志願者や進学者が増加したことが影響していると思われます。

 実際に今春の大学入試後に発表された文部科学省の学校基本調査速報によると、高校卒業者の大学・短大・高校専攻科進学率は前年度比1.9ポイント増の51.2%となり、初めて半数を超えました。浪人も含めた大学・短大進学率は1.4ポイント増の53.7%で過去最高となりました。大学志願者も77万人を超え、入学者を約7万人上回っています。

 しかし、個々の大学を見ていくと、マンモス大学や大都市圏の大学に受験生が集まり、地方の大学の中には定員割れをしている大学も現れているのです。日本私立学校振興・共済事業団の調査結果によると、2007年度入試において、4年制私立大学の中で入学者を入学定員で割った「入学定員充足率」が100%未満=定員割れの大学は全大学の39.5%に当たる221校もあり、そのうち144校は2年連続の定員割れとなっています。

 一方で、入学定員3,000人以上の大学の志願倍率は平均10.56倍から11.50倍に跳ね上がり、入学定員充足率は4.0ポイント増の118.0%となっています。地域別に見ると、東京地域が117.7%、南関東地域が111.6%、京都・大阪地域が112.0%など大都市圏では充足率が100%を上回っていますが、地方では北関東地域では92.3%、北陸地域では96.8%、四国地域では83.5%となっています。大都市圏は前年よりも充足率が上回り、地方では下回っている傾向にありますので、年々その格差が広がっていると言えます。いわゆる「二極分化」現象が見られるのです。

 そんな中、9月上旬に文部科学大臣の諮問機関である中教審(中央教育審議会)の小委員会が、大学生の「質的低下」を防ぐため、各大学に対し卒業認定の厳格化を求め、国に対しては大学生として卒業までに身につける能力(学士力=仮称)を指針として示すことを求める審議計画報告書案をまとめました。全入時代はまだ訪れなかったものの、既に定員割れをしている大学では入学時のハードルがかなり低くなっているとも言えること、また、定員充足率の高い大学も従来と比較すれば学力の低い生徒を合格させていることも十分考えられますので、それは当然のことでしょう。

 日本の大学は「入り難く出易い」と言われることがありますが、最近は「入り易く出易い」ようです。大学に入学する目的もあいまいで、一体何を学んだのか分からず卒業することも多いようです。それどころか、高校レベルどころか中学レベルの教科の復習をしないと授業が理解できない大学生がおり、彼らが既に学士として卒業しているという現状を考えると、中教審の提言も時既に遅しという感も否めません。「入り易くても出難い」大学を目指した質的改革が求められています。

                        ~Weekly Business News 2007年9月21日号掲載

                                

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