在米子女教育を考える

〜難しいが重要な学部・学科選択

 

米日教育交流協議会
代表 丹羽筆人

 

大学卒業後の進路を見据えて、志望理由を明確化する必要がある

 

 帰国生の大学入試はほとんどの私立大学の入試が終了し、23月に入試を行う国公立大学を残すのみとなりました。一方で、日本の一般入試は、国公立大と一部の私大志望者にとっての第一関門となっている大学入試センター試験が来年の11920日に行われ、引き続き1月下旬から2月下旬の私立大入試、2月下旬から3月の国公立大入試に突入します。入試本番まで後1ヶ月余りです。日本の受験生は必死に最期の追い込みをかけています。

 さて、ここ北米に在住する高校生には、日本の大学への入学を考えている人とアメリカやカナダの大学への進学を考えている人との双方があると思います。せっかく北米に在住し、英語も使えるようになったので、それを活かそうとすることはすばらしいことです。日本の大学は日本語力が必要なので敬遠したいという人もいるでしょう。一方で、親御さんがいずれは日本に帰国するので、将来は日本を生活や仕事の拠点にしたいということから日本の大学進学を考える人もいるでしょう。ここで、日本の大学への進学を考えている人には、北米の大学進学希望者とは異なり、早いうちから考えておかなければならないことがあります。それは入学する学部・学科(専攻)の選択です。

 日本の大学のほとんどは、北米の大学のように入学後の一般教養課程で将来の進路を決定するのではなく、入学時に学部・学科、場合によっては専攻を決定し、学部・学科(専攻)単位で行われる入学試験を受験しなければならないのです。高校生の段階で、大学卒業後にどのような職に就くかということを決定することは大変難しいことです。将来の夢も漠然としているでしょうし、仮に進路が決まっていたとしても大学在学中に変わってしまうかもしれません。それ以前に、社会にはどんな仕事があるのか、どの学部・学科に進学すればその仕事に就けるのか、その仕事に自分は向いているのか、などの疑問点が湧いてくるでしょう。しかし、日本の大学に進学を希望するならば、このことをしっかり考えて、学部・学科を決定しなければなりません。入学した学部・学科によって将来の職業や就職先が決まってきますし、入学後の転部・転科はとても難しいからです。

 ところで、一般入試受験者は入学試験問題での得点力が合否の決め手となります。合格ラインに達すれば、その大学や学部・学科への志望理由や適性は、一部の大学や学部を除き、特に問われることはありません。しかし、帰国生大学入試においては、面接や小論文の場でそれらがしっかりと判定されます。例えば、早稲田大や慶應義塾大など私立大学では、複数の学部を併願する受験生が目立ちます。早稲田大は共通試験の受験によって複数学部への併願(文系・理系間は不可)ができますし、慶應義塾大も書類一式を提出することによって複数学部に出願できるという簡便な仕組みになっているからです。また、早稲田・慶應という大学のブランドがあれば学部はどこでも良いと考えるからでしょう。ところが、学部・学科単位で行われる面接で、学部・学科の志望理由を問われ、あいまいな答えしかできず不合格となるケースが目立っています。このように、帰国生大学入試受験者は将来の進路を見据えた学部・学科の決定が、入試に合格するためにも必要なのです。  

 

                        ~Weekly Business News 2007年12月7日号掲載

                                

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